天体望遠鏡を持つとなにかが変わる

天文趣味を考えているあなたに伝えたい天体観測と天体望遠鏡が持っている大事な価値についての話を書いてみました。

※このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。

天体望遠鏡はなくても天体観測はできる

趣味で天体観測をするのに天体望遠鏡がないとカッコがつかないとは思います。

しかし天体観測ということになると、どうしても望遠鏡が必要というわけではありません。

肉眼で流星の数を調べたりカメラで撮影したり、天体望遠鏡を使わない観測方法もあります。

それでも多くの天文愛好家は自分の愛機といわれる天体望遠鏡をもっています。

そして、その望遠鏡に愛情を注ぎながら天体観測をしています。

人間が道具に嵌まっていくのは愚かで美しくもあります。

私たちがする趣味といわれるものには必ず道具がかかわってくるようです。

【電子観望】初心者におすすめの天体望遠鏡←望遠鏡に興味のある方はこちらの記事を参考にしてください。

天体望遠鏡から科学的価値は生まれるのか

天体観測と言うと何か科学的な行為を連想するところがあります。

実際には個人が持っている望遠鏡から科学的な貢献が出てくることなど、ほとんどないのでしょう。

つい数十年前までは彗星の発見者の多くは町のアマチュア天文家でした。

技術の進化は無数の天文愛好家の努力を必要としなくなってしまいました。

いまではアマチュア天文家の出番はほとんどないでしょう。

天体望遠鏡になにができるのか

反射望遠鏡であれ屈折望遠鏡であれ望遠鏡は遠くにあるものを拡大して見せてくれます。

まるですぐ近くにあるように見せてくれます。

この拡大してくれるちからこそ望遠鏡の価値なのでしょう。 

肉眼では見えない月の表面や土星の環を望遠鏡を使うことで誰でも見ることができます。

小さな安い初心者用の望遠鏡でも、はじめて月や土星を見た方は満足できるでしょう。

日常のなかでは味わえない感動を与えてくれる力をもっている道具なのです。

天体望遠鏡で土星の環を見る←土星に興味のある方はこちらの記事を参考にしてください。

自分で見ることにどれだけの意味があるのだろう

ネットによる情報の普遍化は天文も恩恵に預かっています。

わざわざ望遠鏡で見なくても月にはデコボコのクレーターがびっしりとあり、土星にはリングがちゃんとあります。

それは自分で見る月や土星よりも美しくはっきりとした画像、映像です。

多くの人には知識として、この程度のことはもっておられるのでしょう。

宇宙の不思議な世界を見るだけなら望遠鏡はあまりにもコスパの悪い選択です。

とくに現代ではハップル望遠鏡からの画像や惑星探査衛星(カッシーニなど)が見せてくれる宇宙の姿は精密であり驚異であり、そして何よりも美しい。

もはや地上から観測する意味を失わせてくれたような気がします。

その世界に一歩でも近づくことなど不可能であり無意味なことでしょう。

知識を得るためであればネットや紙媒体など様々な方法で上質の情報にたやすく触れることが可能です。

それにたいして私たちが小さな望遠鏡で得られるものは、まことに頼りなくみじめなものでしかないのが現実です。

しかし天文を趣味にするということは、違う意味がそこにはあるように思います。

ネットを使えばもっと上質で優れたものが簡単に手に入るのですが、あえて粗末な果実を求めることに意味があるのではないでしょうか。

科学的意味でも美でもない何かを、天体観測をするという行為がもたらしてくれると思っています。

そこには天体望遠鏡など物としての機材が意味を持ってくるのです。

実体験で得られる情報だけではない、それにともなう様々な行為から派生する何かがもたらしてくれるものこそ人間が本来大事にしてきたものではないでしょうか。

あなたが見る月のクレーターの激しい明暗の世界も、すでに科学としては陳腐なものに過ぎません。

誰もが常識としてすでに知り、あるいは画像にも触れているかもしれません。

しかし、もしそれをあなたの望遠鏡で自分で見ているのだとしたら、それを手に入れるまでの葛藤や時間、手に届くまでのわくわくした気持ち、梱包をはずして設置する作業、ファインダーを合わせて月に望遠鏡を向けるもろもろの動作。

その結果得られるものは現代ではほとんど価値がないものであっても、あなたという人間に多くの付加価値をもたらしてくれます。

一見何の意味もないように感じるこの付加価値のほうにこそ、望遠鏡で月を観測する意味が存在するのです。

電子観望については下の3記事を参考にしてください。

必見!最新の天体観測は【電子観望】だ。

【電子観望】ざっくり説明(予算も含む)

最安値CMOSカメラceres-c(オリオン星雲見えます)とuranus-c

天体望遠鏡については下の記事を参考にしてください。

初心者におすすめの天体望遠鏡

天体望遠鏡では何も見えない

月面は天体望遠鏡にとっては期待を裏切らない優しい観測対象です。

それなりに感動を与えてもらえるくらいによく見えるのです。

しかし土星になると優しさが少し少なくなってきます。

土星の環は意外とよく見えるのですが、そこまでなのです。

カッシーニの空隙と呼ばれるリング面上にあるスリットや、本体にある薄い横縞など写真では見えているものを実際に見るのは簡単ではありません。

あなたが望遠鏡をもつことで得られるものなど科学的にも美的にも些細なものなのです。

おそらく最初の感動はあるでしょうが何度か見ているうちに、すぐに飽きてしまうでしょう。

これがDSO(銀河、星雲、星団)になると望遠鏡で得られるものは、さらに少なくなります。

個人が持てる望遠鏡はどんな大口径でも宇宙空間にあるハップル望遠鏡はもちろん、地上の大天文台が見せてくれる驚異の宇宙とは別物の世界です。

ほとんど何も見えないと言っても過言ではありません。

見えるのは半透明の光の光芒くらいです。

私たちが手にすることができるのはその程度のものだということを知っておいた方がいいでしょう。

情報としての宇宙の美しい姿や独特の形状を期待してもガッカリするだけです。

自分で天体を観測しても少しは近づけているのでしょうが、その差はあまりにも大きく気持ち納得させるのは難しいでしょう。

望遠鏡で天体観測をする行為は実にコスパの悪い無意味と言ってもいい行為なのです

科学的情報や美的情報はネットや書籍に氾濫しています。

そんなもののために観測するのではありません。

実はあなたが日頃やっている無意味なことの繰り返しが天体観測の趣味の本質なのです。

冷静に考えると何の価値もない行為そのものが天体観測と言う趣味なのです。

個人の持てる望遠鏡などろくな見え方でもないし、たとえ性能一杯見えたとしても限界はすぐそこにあります。

天気には翻弄され都会ではネオンや街灯の人口光に影響されまともな観測を難しくします。

困難は無数にあるのですが、得られるものはあまりにも小さく粗末なものです。

それが天体観測をするという行為なのです。

必見!最新の天体観測は【電子観望】だ。!←電子観望の記事はこちらです。

電子観望アルバム 銀河、星雲、星団好き集まれ!←DSO(銀河、星雲、星団)の電子観望はこちらです。

趣味の道具としての天体望遠鏡

どんな望遠鏡を買うべきか考えたときに屈折式反射式、口径、焦点距離、経緯台、赤道儀、手動式、自動式、付属品などなど望遠鏡を1本買うだけで悩みは尽きません。

購入したら操作になれる必要がありハードとソフトの理解なども乗り越えるべき課題です。

ようやく観測に入ると天気や外光、導入、シーイング、などに襲われて満足できることは少ないでしょう。

いつでも気軽に簡単に楽しめるような趣味ではありません。

むしろ不合理で効率が悪く、そのくせ大した結果が出ないのはわかっているのです。

厳冬の寒さに震えながら望遠鏡を設置したり、真夏の夜にやぶ蚊や虫に悩まされながら観測をする。

少しでも楽でいい観測結果がでるように自分なりの工夫を重ねながら、望遠鏡を触っている自分が可愛いのです。

どれだけ頑張ってもたいした改善ができるわけでもないでしょうが、あがく行為こそが天体観測の醍醐味です。

天体の知識や美しいすがたに触れるよりも大事な要素は、天体観測をするために自分がみずから動く行動にこそ意味があると思います。

どんなにつまらない観測結果だとしても結果を得られるまでに、無数の無意味にも思える行動に価値を感じましょう。

人間は物とともに進化してきました情報偏重の現代こそ、物にこだわり不合理な行動を楽しむこともありではないですか。

一歩踏み込めばそれなりの感動のある天文の世界です。

そのくせすぐに限界がきて、ほとんどの人が去っていく世界ではあります。

でも自分の目で見る月や土星は新鮮です。

木星や接近した火星もなにがしかのインパクトは与えてくれるでしょう。

そのうち飽きるかもしれませんが自ら体験してこの感動を味わってください。

自分の目で接眼レンズの向こうにある天体の生のすがたを見てください。

望遠鏡を設置して調整、苦労してようやく導入する。

そのときの大気の温度、湿度、まつ毛に触れるアイピースの感触。冷たい鏡筒。

すべてが天体観測なのです。

効率や合理性だけでは割り切れない感情の揺さぶりを体験できるかもしれません。

いやな事や辛いこと不快なことを、すべて自分でかぶって観測しましょう。

見えているものだけが天体観測ではありません。

そこに至る過程すべてが天体観測と言うあなたの体験なのです。

【電子観望】初心者におすすめの天体望遠鏡←望遠鏡に興味のある方はこちらの記事を参考にしてください。

超絶重要!天体望遠鏡の選び方←望遠鏡の選び方の記事です。

天体望遠鏡の可能性を広げる

自分の目で天体を観測することを眼視観測と言ったりします。

ガリレオから続くもっとも代表的な、そして古典的な天体観測の方法です。

眼視観測だけでも奥の深い楽しみですが現代の天体趣味は、そこからさきに電子観望や天体写真にすすむ選択もあります。

もちろん、そこにはさらにいろんなハードルが待ち構えています。

お金の問題だけでなく煩わしい習得すべきことや、受け入れなければならない不快なことが待ち構えているでしょうが、それを自分で体験してください。

結果としてろくに写らなかったり、写りはしているが星が流れていたり、ノイズまみれの画像だったりと苦しい悔しい情けないがほとんどかもしれません。

それでも眼視観測にとどまらない望遠鏡を活用できる可能性があります。

より詳細に宇宙の持つ不思議な姿を自分で探ることが可能になります。

小さな望遠鏡でも機材を揃え方法を学べばできることでもあるのです。。

他人の結果を見ているのではなく自分で挑戦してください。

かつてはできなかった世界なのですが現在では可能になりました。

不可能が可能になったのです。

もちろん可能とするためのハードルは存在しますが超えられない高さではありません。

これもまた研究して行動してガッカリするを繰り返す天体観測なのです。

うまくいけば楽しくなる結果を掴める時もあるでしょう。

望遠鏡があればそのようなことも体験できます。

そんな濃密な時間をあたえてくれる天体望遠鏡をまず1本いかがでしょうか。