【超初心者向け】天体望遠鏡の使い方とおすすめ機種の解説・架台は経緯台

超初心者向け天体望遠鏡の使い方

星や望遠鏡にチンプンカンプンでまったく天文知識のないかた向けの記事です。天体望遠鏡の実際の使い方について細かく解説します。今回は手動式経緯台を使った観測のやり方についての説明です。おすすめ機種についても解説しました。

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  1. 超初心者さまを天文ファンにする企画【おすすめ望遠鏡で解説】
  2. 天体観測をはじめるに当たって【屈折式望遠鏡を使って観測】
    1. 望遠鏡は湿気の少ないところで保管しましょう
  3. 眼視観測だけなら屈折式望遠鏡が無難です【月や惑星は高倍率が楽しめます】
    1. 屈折式望遠鏡が持つ4つの強み【初心者に限らず大事なポイントです】
    2. 屈折式望遠鏡の弱点【アクロマート屈折望遠鏡】
  4. 当ブログがおススメする大人が使うべき望遠鏡のスペック
  5. スコープテック社について【国内製造にこだわっています】
  6. ニュートン式反射望遠鏡は少し慣れが必要です【電子観望むけ】
  7. 星座アプリをダウンロードしましょう。【無料アプリで充分です!】
  8. 天体望遠鏡を設置します【分割して運びましょう】
  9. 鏡筒のバランスをとる【観測に使う角度で合わせる】
  10. ファインダーを合わせる【昼間に合わせておきましょう】
    1. 遠くの景色でピントを合わせます【昼間に合わせておきましょう】
  11. 月のクレーターを観測しましょう【最初は月から】
    1. 天体観測のスタートは月からはじめましょう。
    2. 屈折式望遠鏡で月のクレーターを観測する
    3. 天体望遠鏡に触ってはいけません!
    4. 接眼レンズ(アイピース)を変えて月の観測
    5. 日周運動を追いかける【微動装置で追いかけます】
    6. 自動導入・自動追尾機能付き望遠鏡
    7. 反射望遠鏡で月のクレーターを観測する【屈折式には不要】
    8. ニュートン式反射望遠鏡は使い方に癖があります!
    9. 夜露の備え【暖かい室内から寒いところはダメ】
  12. 惑星を観測する【視野の真ん中で見ましょう】
    1. 土星の環を観測します。必ず見えます!
    2. 土星の導入【鈍い光の一等星】
    3. 土星を観測する
    4. 木星の縞模様を観測する【150倍だとかなり見ごたえあります】
  13. DSO(銀河、星雲、星団)を観測する
    1. オリオン星雲を観測する【M42散光星雲】
    2. アンドロメダ銀河(M31系外銀河)
    3. さそり座M4(球状星団)明るくないですが見つけやすい場所にあります
  14. はじめての天体観測のまとめ

超初心者さまを天文ファンにする企画【おすすめ望遠鏡で解説】

天文知識ゼロでも月と太陽はご存じだと思います。そんなかたに望遠鏡を使った天体観測をしてもらう記事です。

月のクレーターや土星の環を観測しましょう。ほかにもいっぱい観測対象はあります。まずは電子観望ではなくて眼視観測で宇宙の神秘を楽しみましょう。

眼視観測は自分で望遠鏡をのぞいて天体を見る観測方法です!

注意:太陽は見てはいけません!失明します!

天体観測をはじめるに当たって【屈折式望遠鏡を使って観測】

天体観測はいろいろな方法がありますが当サイトでは天体望遠鏡での天体観測です。経緯台式望遠鏡の使い方についての解説記事になります。

架台は手動式で説明します。とりあえず望遠鏡は屈折式が無難です。

望遠鏡は屈折式でも反射式でもかまいませんが光学製品ですから乱暴に扱わないようにしましょう。

屈折式望遠鏡は設置してすぐ観測に入れます。導入しやすいです。保管も楽です。

望遠鏡は湿気の少ないところで保管しましょう

レンズや鏡を直接触ったり布で拭くのもいけません。もしホコリがついたときはブロワーで吹き飛ばすようにしましょう。

レンズや主鏡はガラス製です。接眼レンズもガラスです。ガラスはカビが生えます。

保管は湿気の少ない直射日光の当たらないところで保管しましょう。

望遠鏡の架台は赤道儀と経緯台があります。最初は扱いやすい経緯台のほうが無難です。

眼視観測だけなら屈折式望遠鏡が無難です【月や惑星は高倍率が楽しめます】

イラストは望遠鏡のイメージの代表といっていい屈折式望遠鏡です。はじめてでも使いやすいです。

初心者は屈折式がおすすめです。目標天体を顔の正面にできます。

天体の導入が直感的にできてメンテナンスも必要ありません。

架台がしっかりした経緯台が使いやすくておすすめです。微動装置はできればあったほうが高倍率の観測に便利です。

ハンドルで微妙に動かせる機能が微動装置です。倍率が高くなると手で動かすのが困難になるので便利な機能です。少し値段があがりますが100倍以上で観測するときは微動装置がないと難しくなります。

屈折式望遠鏡が持つ4つの強み【初心者に限らず大事なポイントです】

屈折式望遠鏡は顔の正面に目標の天体を置くことができます。それ以外にも取り扱いのしやすい望遠鏡です。

  • 天体を導入するのはけっこう慣れが必要です。屈折式望遠鏡は構造的に導入が容易です。
  • 室内から屋外に持ち出すと筒内気流が発生しますがレンズで密閉されている屈折式望遠鏡は少ないです。設置してすぐに観測に入れます。反射式望遠鏡は長い時間、外気温に馴らす必要があります。
  • 光軸調整が不要です。基本的に光軸を自分で調整する必要がありません。
  • レンズはガラスなのでカビが大敵ですがそれ以外はほとんど経年による劣化はありません。

屈折式望遠鏡の弱点【アクロマート屈折望遠鏡】

屈折式望遠鏡は初心者も使いやすいのですが弱点もあります。

  • 色収差がでます。これは必ず出ます。色収差対策を厳格にしたアポクロマートはかなり高価になります。
  • 鏡筒が長くなりF値も大きくDSO(銀河、星雲、星団)は少し苦手。

F値は焦点距離÷口径です。F値が大きくなると望遠鏡が長くなります

月や惑星の観測であれば初心者用のF値が大きめのアクロマート屈折式望遠鏡がいちばんおすすめです。【F値が小さいと土星の環は分離しなくなります】

当ブログがおススメする大人が使うべき望遠鏡のスペック

この3機種は色収差を抑えた見え味の良い望遠鏡です。F値を大きめにして色収差を少なくしています。

スコープテック・ラプトル50口径50ミリ・焦点距離600ミリ【F12】倍率・30×、70×【天頂ミラー付き】
スコープテック・ラプトル60口径60ミリ・焦点距離700ミリ【F11.6】倍率・35×、88×【天頂ミラー付き】
スコープテック・アトラス60微動装置付き口径60ミリ・焦点距離800ミリ【13.3】倍率・40×、64×、133×【天頂ミラー付き】

大人が趣味で使う望遠鏡はラプトル50より口径が10ミリ大きいラプトル60をおススメします。

少しでも高倍率で暗い光を見るには口径は大きいほうが有利です。どれも土星の環ぐらいはバッチリ見えます。

アトラス60は高倍率で観測するための微動装置がついています。

スコープテック社について【国内製造にこだわっています】

無理のない大き目のF値で色収差の少ない見え味にこだわった望遠鏡です。

  • 初心者向けの屈折望遠鏡を主力にした国内メーカーです。国内製造にこだわりを持ち、販売後のサポートもしっかりしています。
  • 小学生向けのラプトル50はアマゾンだけでも常に月間100本以上販売されています。かなりのヒット商品です。
  • 初心者用の望遠鏡ですが上級者の評判もすこぶる良いです。yutube、ブログでよく取り上げられている望遠鏡です。
  • アマゾン、楽天には自社サイトで出品しています。購入後のサポートを考えるのであれば販売店経由よりも安心でしょう。

現在販売されている初心者用の望遠鏡は基本的には中国製です。国内メーカーブランドもほとんどOEMです。スコープテックは国産を売りにして品質を確保する販売戦略のようです。

ニュートン式反射望遠鏡は少し慣れが必要です【電子観望むけ】

ニュートン式反射望遠鏡は若干慣れが必要です。少し高額になりますが反射式でもマクストフカセグレインは屈折式に負けない扱いやすさを持っています。

電子観望に興味がある方はこちらの記事です。

天体の種類から選ぶ望遠鏡の記事はこちらです。

電子観望でDSO(銀河、星雲、星団)を狙うのであればニュートン式反射望遠鏡がイチバンおすすめです。

星座アプリをダウンロードしましょう。【無料アプリで充分です!】

月と太陽はたぶんご存じだと思いますが望遠鏡を向ける対象は星になると思います。まずは星座をおぼえましょう。これは望遠鏡も双眼鏡もいりません。そして星座の知識は望遠鏡を使う時にかなり役立ちます。

1等星を覚えておくと、天体観測のときになにかと便利ですよ

スマホで星座アプリをダウンロードして勉強しましょう。無料アプリがいっぱいあります。私は星座表というアプリを使っています。どんなアプリでもけっこうです。

使う時のコツですがわかりやすい星座から見つけることです。その星座を基準にしてほかの星座の検討をつけると見つけやすいです。星座は季節によって南中する時間が違います。見つけやすい星座をあげておきます。

  • 1~3月 オリオン座をまず覚えてからほかの星座も覚えましょう。
  • 4~6月 しし座を軸におとめ座は押さえてください。
  • 7~9月 さそり座、はくちょう座、こと座の3星座はわかりやすい星座です。
  • 10~12月 アンドロメダ座とペガサスの4辺形にみなみのうお座の1等星フォマルファーウトを覚えましょう。

天体観測するなら星座を覚えよう←星座に関しての記事です

天体望遠鏡を設置します【分割して運びましょう】

空が晴れているなら天体観測しましょう。望遠鏡を持ち出して準備です。暗いので慎重に行動しましょう。

まず望遠鏡の三脚だけを固くてしっかりした水平な地面に設置します。鏡筒が載っていると重たいしバランスが悪いので分割して運んだほうが安全です。

三脚の上に鏡筒を載せてください。できるだけ望遠鏡の架台は水平に設置してください。たぶん水準器が付属しています。なければだいたいの見当でもけっこうです。

できるだけ水平に設置したほうが操作しましょう。水平は三脚の長さを調整して合わせますが微調整をするときは薄い板状のものを地面との間に置くようにすると合わせやすいです。

ベニヤの端切れとか厚みの違う薄いゴムの板をホームセンターで探しましょう。

三脚を設置してから鏡筒を載せましょう!事故防止のためです!

鏡筒のバランスをとる【観測に使う角度で合わせる】

画像はニュートン式反射望遠鏡です。屈折式でも同じ要領です。

鏡筒の上下クランプを緩めてください。鏡筒は水平ではなく40~80度の位置でバランスがとれるようにする必要があります。

いちばん観測に使うであろう角度でバランスをとるようにします。ロックしていない状態でもバランスが取れて鏡筒が動かないようにします。

鏡筒を前後にスライドさせてバランスをとります。このとき観測に使用するであろうアイピースやCMOSカメラをつけておいた方が正確なバランスが取れます。

もちろんファインダーもついた状態にしてください。【とくに自動導入機はバランスを合わせておかないと導入精度や追尾精度に問題が出ます。】

ファインダーを合わせる【昼間に合わせておきましょう】

ファインダーは望遠鏡に天体を導入するための大事なツールです。正確に合わせておかないと天体観測に支障が出ます。

本来これは明るいうちにやっておくべき作業です。遠くの動かないものであればなんでもけっこうです。山でも建物でも電柱でも動かなければなんでもいいです。

星でファインダーを合わせるのはやめたほうがいいです。最初は難しいです!

距離は遠いほうがいいのですが無理なら数十メートル先のものでも大丈夫です。まず望遠鏡で実際に視野の中に入れて真ん中に置いてください。

目標をファインダーの十字線に合わせてください。低倍率で導入する分にはアバウトでも大丈夫です。

ネジで微動調整ができるはずですが、大きく外れているときは手で鏡筒と平行になるようにしてください。ある程度平行を揃えたらネジでしっかり合わせます。

鏡筒とファインダーが平行になるように差し込んでください!そのあと微調整です!

レッドドットポインターの場合も同じ要領で合わせてください。光学式と違って等倍率なので合わせるのは簡単ですが、覗くと少し暗いので明るいうちに合わせておいた方が無難です。

ファインダーは狂いやすいので観測のたびに合わせることになりがちです。慣れるようにしてください。

慣れないうちは必ず昼間に遠くの動かないもので合わせておくようにしましょう。

遠くの景色でピントを合わせます【昼間に合わせておきましょう】

接眼部のハンドルを前後させていちばんシャープに見える位置を探しましょう。

ある程度でけっこうです。最終的なピントは天体で合わせます。

ピントは接眼レンズによって位置が変わります。そのつど合わせることになります。

  • 地面は固くしっかりしていますか?
  • 望遠鏡の架台は水平になっていますか?
  • 鏡筒のバランスはとりましたか?
  • 鏡筒の蓋はとりましたか?
  • 架台と鏡筒はしっかりとまってますか?
  • ファインダーの照準はあってますか?
  • 接眼レンズは最低倍率になっていますか?
  • 微動送りハンドルがあれば取り付けてください。
  • 最後に三脚や各部のネジを締めてがたつきが出ないようにしてください。

月のクレーターを観測しましょう【最初は月から】

望遠鏡のセットは完了しました。いよいよ月の天体観測に入ります。

Wikipediaから引用した半月の画像です。

クレーターがよく見えるのは明るいところと暗いところのさかいめになります。

さかいめだと影ができてクレーターを立体的に見せてくれます。

満月は正面から光が当たっているので立体感はありません。

月齢で5~12くらいが見ごたえあります。

特に月齢7からが月面の陰影がはっきり見えて楽しいです。

低倍率では満月時に限らず月は明るすぎて長時間の観測は目が疲れます。100倍以上の倍率で観測すると視野いっぱいに月面が広がって迫力あります。地上の風景とは違う明暗の世界を堪能してください。

天体観測のスタートは月からはじめましょう。

月は明るくて大きく誰でもすぐに見つけられる天体です。天体望遠鏡で観測をはじめる最良の天体だといえます。

望遠鏡は扱いに慣れるまでけっこう苦労する道具です。まずは月でしっかり練習して望遠鏡の操作に慣れるようにしてください。

屈折式望遠鏡で月のクレーターを観測する

月は明るくて大きな天体です。単純に月の方向に望遠鏡を向けましょう。そのときに望遠鏡の倍率は最低倍率にしてください。

それから屈折式望遠鏡は天頂ミラーか天頂プリズムはつけておきましょう。接眼レンズ(アイピース)は焦点距離が一番大きいものを差し込んでください。

屈折望遠鏡は天頂ミラーか天頂プリズムをつけないと、ほとんどの天体で観測姿勢が取れなくなります。

クランプは緩めて鏡筒を自由に動かせるようにしてください月を顔の正面にして望遠鏡を月に向かわせます。ファインダーに月が入ったら十字に乗せてください。すでに望遠鏡も捉えているはずです。

ピントはクレーターで合わせましょう。クッキリ、スッキリ見えるところを捜してください。接眼部を前後させてピントを合わせます。

合ったと思うところがあってもいちどは通り過ぎてください。そこから戻ってを繰り返しながらジャスピンの位置を捜します。

最低倍率で月を探しましょう。クレーターの陰影を見ながらピント合わせします。

天体望遠鏡に触ってはいけません!

天体望遠鏡を覗くときに接眼部を持ちたくなりますが絶対NGです。望遠鏡はレンズの力で大きく拡大しています。少し触れただけで振動も拡大され視野は大きく揺れて観測できなくなります。

観測時は望遠鏡に触らないようにしてください。接眼部、鏡筒、微動装置、三脚すべてNGです。接眼レンズを覗き込むときは少し離れたところからレンズを見ながら近づいてください。

まつ毛が接眼レンズに触れるか触れないかぐらいです。

接眼レンズ(アイピース)につかず離れずで見えるところがあります! 触らないようにしてください!【結像の位置は接眼レンズの種類によって違います】

自分の目が天体をしっかり見えるところがあります。どのくらい離れたところがよく見えるのか掴むようにしましょう。そのときも望遠鏡には触れないようにして距離を掴みましょう。

望遠鏡に少しでも触れるとたちまち望遠鏡はゆれてしばらく観測ストップです。

望遠鏡に触るのは目標天体を導入するためか日周運動を追いかけるときに微動装置を動かすときだけです。

微動装置を使うと揺れて観測できるまで少し待たないとダメですよ!

微動装置をそっと動かしても視界は揺れて観測できなくなります。落ち着くまでしばらく観測ストップです。自動導入追尾機はほとんど揺れることはありません。

接眼レンズ(アイピース)を変えて月の観測

低倍率だとクレーターの詳細まで見えないので倍率をあげます。いまの接眼レンズ(アイピース)よりも短い焦点距離に変えましょう。倍率があがると視野が狭くなるので月は真ん中に捉えてから交換します。できるだけ慎重に交換してください。

接眼レンズ(アイピース)を変えたらまた揺れて観測待ちです

望遠鏡に力がかかると動いて月がどこかに行ってしまいます。接眼レンズを変えるとピントがずれます。その都度ピントを合わせます。

倍率が高くなるとクレーターの形がはっきりわかるようになります。陰影のなかにクレーターが浮かびあがります。

鋭く抉れたクレーターからは筋状の帯が広がるのも見えます。海と呼ばれる平坦なところにもしわのようなものを見ることもできます。

地上とは別世界の風景を堪能してください。光と影のコントラストの世界が広がっています。口径6センチくらいの望遠鏡でもこの程度は確認できます。自分の目で見るとけっこうびっくりすると思います。

日周運動を追いかける【微動装置で追いかけます】

天体は日周運動でつねに動いています。裸眼だとあまりにゆっくりで、動いている実感はないのですが望遠鏡で拡大するとかなり気になってきます。

とくに100倍以上で観測しているとあきらかに月が視野の中で流れているのがわかります。しばらく見ていると月が視野の外に外れていきます。高倍率の観測ではこれを追いかけていく必要があります。

微動装置を使うとけっこう揺れますよ!また観測待ちです。

微動装置のついている望遠鏡はハンドルを少しずつ回して追跡してください。微動装置がない時は接眼部を軽く持ってゆっくり動かして追跡します。

日周運動は休むことがないので観測しているときは絶えまなくこの動作をします。低倍率では動きがゆっくりなのでそこまで忙しくはないですが、高倍率を使うと必須作業です。

自動導入・自動追尾機能付き望遠鏡

高倍率を使いたい人は自動導入自動追尾機能付きの望遠鏡にしましょう。望遠鏡が勝手に追尾してくれるので観測に集中できます。

設置をしっかりやれば200倍くらいまでならかなりの精度で追尾してくれます。この機能がついている経緯台とついていない経緯台の価格差を考えると機能付きを購入したほうがコスパ的には良いと思います。

100倍以上で土星を観測するには自動機がおすすめです。落ち着いて観測できます。私は土星、木星はazgteP130という反射望遠鏡を325倍にして観測しています。

反射望遠鏡で月のクレーターを観測する【屈折式には不要】

反射望遠鏡は屈折式に比べて取り扱いが面倒です。ファインダーにかんしては屈折式と同じですが別に光軸調整が入ってきます。

初心者用の反射望遠鏡は意外とずれにくい構造になっていますが、そのうちずれるので光軸調整は必要なものだと諦めてください。

たいして時間はかかりません。ただし工具が必要です。レーザーコリメーターがあれば早くすみます。なれたら5分もかかりません。


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光軸調整の詳細の記事はこちらです

ニュートン式反射望遠鏡は使い方に癖があります!

屈折式と違ってニュートン式反射望遠鏡は横から覗いて観測します。目標天体を顔の正面にはできません。

導入するときにかなり戸惑うことになります。導入にはファインダーかレッドドットポインターを使いこなす必要があります。

しっかりと合わせておくようにしましょう。それ以外は屈折式と同じ要領です。ピント合わせも日周運動の追尾も同じように、こなしてください。望遠鏡に触れてはいけないのも同じです。

ニュートン式反射望遠鏡はファインダーが合ってないと導入に苦労します!

夜露の備え【暖かい室内から寒いところはダメ】

反射望遠鏡だけではありません。屈折式望遠鏡でも同じです。夜露対策はしておいた方がよいでしょう。とくに夏の湿度の高いときや山間部のように寒暖差が大きいところはすぐに夜露が降りてきます。

あらかじめニュートン式反射望遠鏡は斜鏡に使い捨てカイロの小を貼り付けます。屈折式は対物レンズのあたりに使い捨てカイロの標準サイズを貼っておきましょう。

反射望遠鏡の主鏡は鏡筒がフード代わりになっているので夜露が降りにくいはずです。もし夜露にやられたらアウトです。あきらめて帰ったほうがいいと思います。

ファインダーは夜露がすぐにつきます。手動導入のときは必ず対策しておきましょう。

惑星を観測する【視野の真ん中で見ましょう】

観測できる惑星は水星、金星、火星、木星、土星の5個あります。そのうち観測がしやすいのは木星と土星になります。とくに土星は不思議なリングを持った人気の惑星です。

木星と土星は天頂近くまで高度があがります。できるだけ高く昇ってから観測しましょう。高度が低いと大気の影響が受けやすく見え方が悪くなります。

地球の内惑星である金星と水星は日没直後か日昇前が観測時間になります。シャープに見えません。三日月のようにに満ち欠けを観測するだけです。

倍率の計算方法:望遠鏡の焦点距離ミリ÷接眼レンズの焦点距離ミリ=倍率

【例】焦点距離650ミリ÷接眼レンズ10ミリ=65倍

土星の環を観測します。必ず見えます!

星座アプリで土星を見つけてください。1等星以上の光度はあるので見つけるのは難しくないでしょう。ただし天体はシーズンがあるので1年中観測できるわけではありません。

夕方から夜半にかけて土星があるのは9月から1月くらいです。(2024年の時点では)

土星の導入【鈍い光の一等星】

明るいとはいえ月にくらべると光度、大きさが劣ります。まずファインダーに土星を入れましょう。望遠鏡のクランプねじを緩めて鏡筒を自由に動かせるようにしてください。

ファインダーの方向をまっすぐに土星に向けるだけです。ファインダーは倍率が10倍以下だと思います。

だいたいの感じで向ければまず導入できると思います。ファインダーの直線方向に土星を持ってくれば導入できます。十字線の真ん中に追い込んでください。

土星を観測する

ファインダーの真ん中に土星があれば望遠鏡が低倍率なら視野に入っているでしょう。環を使ってピントを合わせましょう。いちばんしっかり見えるところがジャスピンです。

大気の条件がよければ口径8センチくらいからカッシーニの空隙と呼ばれる、リング面にあるスリットも見えます。本体にも薄いですが縞模様が感じられると思います。

この縞模様は非常に薄くラインとしては見えませんがなんとなく暗くなっているのはわかります。みかけの大きさが小さいので高倍率が必要です。100倍は欲しいところです。

カッシーニの空隙を見るには8センチ以上の望遠鏡が必要です。視力も関係します。さらに土星の傾きも大きくないと見えずらいです。2024年は傾きが少ないのですが、これからしばらくは観測しずらい期間です。

木星の縞模様を観測する【150倍だとかなり見ごたえあります】

木星はかなり明るくて目立つ星です。木星が出ているときはいちばん明るい星がそうだと思います。要領は土星と同じですが明るいので狙いがつけやすく簡単でしょう。

低倍率では4個のガリレオ衛星が見えます。50倍以上になってくると縞模様もはっきりします。木星は明るいため低倍率では表面の模様がわかりにくいので高倍率にして表面を観測するようにしましょう。

まぶしすぎると表面の濃淡がわかりずらいのです。縞模様は2本は見えます。口径が8センチ以上あると2本以上の縞模様とそれが少し不規則に波打っているところまで観測できます。

大きな見かけの惑星です。小さな望遠鏡でもなかなかよく見えます。変化にとんだ表面の模様を楽しんでください。

DSO(銀河、星雲、星団)を観測する

天体観測の対象としては圧倒的な数はありますが見え方がショボいのがDSO(銀河、星雲、星団)です。手動で導入するのは技術も必要です。

あるていど望遠鏡を使いこなせるようになってから挑戦したほうが成功率も高いですよ。代表的なDSO(銀河、星雲、星団)のいくつかを紹介します。

ほとんど暗い天体なので月があったり街灯や室内灯の影響をうけます。空の明るい場所では見るのが難しいので山や人工光が少ないところのほうが良く見えます。

オリオン星雲を観測する【M42散光星雲】

あらかじめお伝えしますが、画像のようには見えません。

もっと暗くて薄くてショボいです。

それでもすべてのDSO(銀河、星雲、星団)のなかで最もよく見えます。

自分の目で見ると感動できると思います。

導入も比較的に容易です。まずはオリオン座を見つけてください。目印の3つ星はオリオンのベルトになります。

ベルトの下に少し暗い小さな三ッ星があります。腰にぶら下げた短剣に見立てたりします。

この小三ツ星の真ん中にオリオン星雲(M42)があります。3センチの双眼鏡でも見ることのできる星雲です。

望遠鏡を使えば薄く半透明な光芒が蝶のように広がった形と微妙な濃淡も観測できます。写真とは違いますが宇宙にはこのようなものがあることを実感してください。

アンドロメダ銀河(M31系外銀河)

満月の4個分ほどある巨大な大きさの銀河です。

眼視観測では中心部の光っているところが見えるだけです。

渦巻きも光の濃淡もわかりません。

DSO(銀河、星雲、星団)の中ではオリオン星雲についで明るくはっきり見える天体です。

導入はオリオン星雲よりも難易度が高いです。アンドロメダ座を探してください。アンドロメダ座は4個の星が少し曲がりながら並んだ星座です。

先頭から3個目の星が目印です。星名はミラクです。ミラクから北のほうにいきます。アンドロメダ座の2番目の星とミラクの距離がほぼ同じです。

ミラクから北に同じくらい動かして低倍率で掃天します。明るいとはいえボンヤリとした光の塊なので慣れるまで大変だと思います。しかし光りの大きさは満月くらいはあります。(空の条件で変わりますが)

アンドロメダ座が昇りかけに探すほうが観測姿勢が楽なので見つけやすいですよ。

さそり座M4(球状星団)明るくないですが見つけやすい場所にあります

5.6等級ありますが球状星団の中ではまばらな感じがします。

位置がさそり座の主星アンタレスのすぐ近くにあり探しやすい星団です。

それでも薄いひかり方ですから見逃さないようにしてください。

アンタレスと右にある3等星の中間の少し下にあります。私は8センチの双眼鏡でこの星団をみつけるのに3時間はかかりました。

光りかたのイメージがわかるまでは苦労すると思います。半透明の薄く光る物体です。

とりあえず3個のDSO(銀河、星雲、星団)はみつけやすい位置にあります。そのほかにもいろいろありますが手動で導入するのは相当の技術と忍耐が必要だと思います。

私は自動導入を使って楽をするようにしています。

DSO(銀河、星雲、星団)を眼視観測するときはこちらの記事です。

はじめての天体観測のまとめ

  • 重い望遠鏡は鏡筒と架台を分割して運びましょう
  • 架台は水平に設置します
  • ピントはある程度合わせるようにしておきます
  • ファインダーは明るいうちに合わせておきます
  • 天体を導入するときはいちばん低い倍率です
  • 倍率を変更するとピントの位置も変わります
  • 天体は視野の真ん中がいちばんシャープに見えます
  • 日周運動を追いかけながらの観測になります

M4球状星団を双眼鏡でさがした苦労話です

さそり座の主星アンタレスのすぐ近くに球状星団M4があります。光度は5.6等級でDSO(銀河、星雲、星団)のなかではそこそこ明るい部類に入ります。

8センチの双眼鏡をつかって初めてDSO(銀河、星雲、星団)を観測する対象にM4を選びました。光度もありますがなんといっても探しやすい位置にある天体だからです。

アンタレスは1等星ですぐに見つけることができる非常に目立つ星です。赤いアンタレスのすぐそばにある球状星団です。

しかも高度も双眼鏡で探すのに絶好の高さです。簡単に見つかるだろうと楽観的に探し始めたのですが見つかりません。

アンタレスを基準にして検討をつけて双眼鏡を振り回しましたがどうしても見つかりません。たぶん2時間くらいは掃天していたと思います。

結局、当日は見つけることができませんでした。その翌日だったか、とにかく別の日になんとか見つけることができました。

たぶんみつけるまでに延べ3時間は費やしたと思います。5.6等級でも恒星の見え方とは全く別物です。

はかなく、頼りなく、ぼんやり見えている光芒を認識できなかったのです。おそらく何度も双眼鏡の視野の中に入っていたと思います。頭の中でかってにM4のイメージを作り上げていたのでしょう。

DSO(銀河、星雲、星団)を見つけるにはこの自分が作り上げたイメージを捨て去ることが必要です。いちど自分で見つけて経験を積むと次からは比較的簡単に見つけられると思います。

見えたからといって凄い構造が判るわけではありませんが、自分で探し出すとなにか嬉しいものがあります。いて座やさそり座にはDSO(銀河、星雲、星団)が集中しています。

特に球状星団と散光星雲が多くあります。高さ的にも望遠鏡で探しやすいところにあります。夏の夜に虫と闘いながらゆっくり探しましょう。

見つけると達成感があります。

あえて眼視観測で挑戦してみるのも面白いものです。

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